見上げれば樹木にも可憐な花が咲いていることに気づきます。
春~初夏の街路樹で楽しめる花さんぽといえば?
ハナミズキ・ヤマボウシ 、そしてキョウチクトウですね!
6月に入って白いキョウチクトウ(夾竹桃)が咲き始めました。
雨に濡れた緑色の葉っぱが綺麗です。
>関連記事 ハナミズキ(花水木)とヤマボウシ(山法師)|違いとシンボルツリーの選び方
樹木の花に注目すると
花さんぽの楽しみが広がります。
この記事では、キョウチクトウ(夾竹桃)がなぜ復興のシンボルとされているのか、
夾竹桃を愛した作家太宰治のお話もあわせてご紹介致します。
◆キョウチクトウ(夾竹桃)|復興と希望の街路樹◆
- 夾竹桃の名前の由来と花言葉:桃の花と竹の葉に似る・危険な香りの花言葉
- 街路樹に向く夾竹桃の特徴:花色豊富・丈夫で育てやすい・毒性強し
- 太宰治と夾竹桃:太宰治の植えた夾竹桃
キョウチクトウ(夾竹桃)|名前の由来と花言葉
撮影者:スミレ
キョウチクトウ科/キョウチクトウ属
キョウチクトウ 常緑樹
夾竹桃はインド原産の花です。
丈夫で強いことから、街路樹や生垣に植えられていることが多いです。
夾竹桃の名前の由来は中国の言葉(夾竹桃)をそのまま受け継いでいます。
● 夾竹桃の葉が竹の葉っぱに似ているから
● 夾竹桃の花は桃の花に似ているから
● 夾とは挟む・混ざるという意味
葉と花の特徴が混ざった様子を表しています。
英名はoleander。
葉っぱがオリーブに似ているところが由来です。
第一印象が可憐だと思ったのは
桃の花に似ているからなんですね。
可憐な花なのに毒性が強いのが
意外でしょう?
夾竹桃の花言葉が怖いのは、夾竹桃の持つ危険性からきています。
また、夾竹桃は街路樹に選ばれるぐらい丈夫です。
良い意味の花言葉もありますよ。
「危険」「用心」「注意」「危険な恋愛」
「たくましい精神」
キョウチクトウ(夾竹桃)の特徴|街路樹に最適な樹木
撮影者:スミレ
キョウチクトウのピンクの花
夾竹桃を始めて認識したのは白い花でした。
白・赤・赤紫・淡紫・黄・淡黄・ピンク・オレンジ。
実は夾竹桃の花の色は豊富なのです。
● 桃の花に似ている花の形
● 竹の葉っぱに似ている葉っぱの形
● 常緑の低木
というところで他の樹木と見分けてくださいね。
個人的に街路樹には白とピンクが多いように感じています。
公園でもよく見かけます。
1.キョウチクトウ(夾竹桃)は大気汚染に強い
撮影者:スミレ
夾竹桃は工場緑地などにもよく植えられています。
大気汚染にも強い性質があるためです。
原爆投下直後の広島には草木が生えないと言われていました。
真っ先に復活したのが夾竹桃の花だったのです。
当時の広島市民はどれほど勇気づけられたでしょうか。
夾竹桃は広島市の花になっています。
夾竹桃は戦災からの復興のシンボルの木です。
平和を願う「夾竹桃のうた」という歌もあります。
高度成長期をになっていた、兵庫県尼崎市の海岸の工場地帯。
ここにも夾竹桃が植えられていました。
台風が続き、尼崎市の沿岸部が海水に浸かった時も夾竹桃は残りました。
夾竹桃の花が市民を元気づけた由来から尼崎市の花になりました。
夾竹桃は天災からの復興、希望のシンボルでもあるのです。
その他にも。
千葉市・鹿児島市でも夾竹桃は市の花になっています。
2.キョウチクトウ(夾竹桃)は丈夫で育てやすい
撮影者:スミレ
夾竹桃が街路樹に植栽されている理由のひとつは丈夫だから。
● 日当たりの良いところならOK
● 乾燥に強く夏の暑さにも強い
● 排気ガスにも潮風にも強い
● 成長が早い
● 肥料もほぼ要らず、虫もつきにくい
以上の理由から街路樹だけではなく、公園や庭木にもよく植栽されます。
育てるにはイイコトづくめのようですね。
実は夾竹桃、毒性もあります。
無知って怖いですね。
「鏡花水月★花つむぎ」管理人、
公園で夾竹桃の花を見つけて駆け寄ったことがあるんです。
ホント、知らないと危ないですね。
「夾竹桃は毒があるよ!」と一緒にいた先輩に止められました。
素手で触っちゃダメ!
3.キョウチクトウ(夾竹桃)は意外に毒性が強い
撮影者:スミレ
大気汚染などに強い夾竹桃。
ところが夾竹桃自身が強い毒性を持っているのです。
街路樹や公園などに植栽されていて、
触ろうとすれば簡単に触れるにもかかわらずにです。
身近に植えられているから
ビックリしますよね。
夾竹桃は枝葉を燃やすだけで毒煙が発生します。
枝を燃やした灰や植えてある土壌にまで、影響すると言われています。
夾竹桃の毒性は花・葉・枝・根の全てです。
特に注意すべきは樹液です。
服につかないように注意しましょう。
夾竹桃は剪定が必要な樹木です。
枝を切るのはプロにお願いするのが安心。
作家の愛した夾竹桃|太宰治と夾竹桃
撮影者:スミレ
夾竹桃の第一印象は「可憐」でした。
本当はたくましくて毒性のある夾竹桃。
危険な花言葉と真逆ね。
夾竹桃を愛した著名人がいました。
太宰治です。
太宰治が初短編集「晩年」を出したのは昭和11年。
その頃の彼は船橋市に住んでいました。
夾竹桃の姿かたちが彼の琴線に触れたのでしょうか?
太宰治は自宅の庭に譲り受けた夾竹桃を植えていたそうです。
故郷は夾竹桃が珍しい、真夏の花が好きだ
と書いていましたね。
太宰治の船橋市滞在は短いものでした。
健康上の理由で船橋の家を去ることになります。
その時の心情を綴った文章が胸を打ちます。
◆太宰治と夾竹桃◆
「私はお隣の庭の、三本の夾竹桃にふらふら心をひかれた。
・・・中略・・・
どれでもいいから一本、ゆづってくださるよう、お隣にたのみにいかせた。」
太宰治「めくら草紙」(昭和11年)
「どうしてもその家から引きあげなければならなくなった日に・・・中略・・・
玄関の夾竹桃も僕が植えたのだ・・・中略・・・
手放しで泣いてしまったのを忘れていない。」
太宰治「十五年間」(昭和21年)
太宰治は夾竹桃を自ら植えたのですね。
当時のことですから毒性のことは知らなかったのでしょうか。
船橋市には今も太宰治の旧居が残っています。
船橋駅から徒歩約5分の船橋文化ホール前に太宰の文学碑があります。
ここに太宰治が植えた夾竹桃が移植されているんですよ。
夾竹桃と太宰治が好きな方には、船橋市の素敵な街さんぽになることでしょう。
キョウチクトウ(夾竹桃)の特徴と花言葉まとめ
撮影者:スミレ
夾竹桃の開花時期は6~10月。
梅雨時は一旦しぼんで、夏になるとまた花が咲きます。
夾竹桃は花期が長く大気汚染にも強いので、街路樹の適性がある樹木です。
この記事では、キョウチクトウ(夾竹桃)がなぜ復興のシンボルとされているのか、
夾竹桃を愛した作家太宰治のお話もあわせてご紹介致しました。
◆キョウチクトウ(夾竹桃)|復興と希望の街路樹◆
- 夾竹桃の名前の由来と花言葉:桃の花と竹の葉に似る・危険な香りの花言葉
- 街路樹に向く夾竹桃の特徴:花色豊富・丈夫で育てやすい・毒性強し
- 太宰治と夾竹桃:船橋市に太宰治の植えた夾竹桃がハナニラ(ハナニラ)
★ キョウチクトウ(夾竹桃) | |
科名/属名 | キョウチクトウ科/キョウチクトウ属 【誕生花:8/3,7,9】 |
原産 | インド |
学名 | Nerium oleander |
英名 | oleander |
別名 | |
花言葉 | 「危険」「用心」「注意」「危険な恋愛」 「たくましい精神」 |
開花時期 | 6~10月 |
花色 | 白・赤・赤紫・淡紫・黄・淡黄・ピンク・オレンジ |
特徴 | ・常緑樹 ・大気汚染に強く丈夫 ・強い毒性あり ・無香 |
たまには毎日通う道で空を見上げてみましょう。
近所の街路樹で花さんぽもいいものですよ。
車には気をつけてね。
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