5月の声を聞く頃、躑躅(ツツジ)があちらこちらで咲き始めました。
お家の垣根、公園、山裾・・・。
春から初夏へ衣替えの季節ですね。
ツツジ(躑躅)を知らない人はまずいないと思います。
もう一歩進んで、ツツジ(躑躅)には色々な種類があることをご存知ですか?
「鏡花水月★花つむぎ」管理人が色々な種類のツツジ(躑躅)を知ったのはここ数年のこと。
垣根のツツジのイメージが強くて
全く違う雰囲気のツツジもあるのですね
この記事では、生け垣に活用されているツツジ(躑躅)、町や里山で見かけるツツジ(躑躅)の仲間を、お花初心者さんにもわかりやすくお伝えしていきます。
あわせて、サツキ(五月)やシャクナゲ(石楠花)との関係もご紹介しますね。
◆ツツジ(躑躅)の種類とサツキ(五月)とシャクナゲ(石楠花)の関係◆
- 毒のあるツツジ(躑躅)の種類
- 町や里山で見かけるツツジ(躑躅)の種類
- サツキ(五月)・シャクナゲ(石楠花)・ツツジ(躑躅)との違い
ツツジ(躑躅)の特徴|毒のある種類もある
撮影者:スミレ
ツツジ科 / ツツジ属
ツツジ 低木
ツツジ(躑躅)の仲間は多く、ツツジ科/ツツジ属はまとめてツツジ(躑躅)と呼ばれています。
基本の花の形は漏斗(ろうと)型。
花かんむりの先は5つに分かれています。
子どもの頃にツツジの蜜を吸ったっけ
久しぶりにやってみようかな
毒のあるツツジもあるから
好奇心で吸うのは危ないよ
ツツジ(躑躅)の種類によって毒があるものとないものがあります。
毒性なんて何も知らずに遊んでいました。
今考えれば危険な行為だったのかも。
垣根に良く使われているのはヒラドツツジ。
こちらには毒性がありません。
私が遊んでいたのはコレ
ほっとしました
子どもって怖いもの知らずだから・・・。
小さなお子さんをお持ちの人も、ちょっと植物の知識があれば安心感が違いますよね。
毒性が強くて有名なのはレンゲツツジ。
私はまだ直接見たことはありません。
レンゲに似ているツツジ(躑躅)ですね。
レンゲツツジ
ツツジ(躑躅)の仲間には有毒の種類があります。
ツツジ(躑躅)の種類を見分ける自信がないなら、蜜は吸わないようにするのが安全です。
<ちょっと耳より情報>
「躑躅」を音読みすると「テキチョク」です。
「テキチョク」の意味は、ある場所から動けなくなってしまうということ。
中国で躑躅(ツツジ)を指す「羊躑躅(ヨウテキチョク)」とは、躑躅(ツツジ)を食べた羊が毒が回って動けなくなるというのが、語源の由来です。
「羊躑躅(ヨウテキチョク)」はレンゲツツジのこと
16世紀の中国の書物『本草綱目(ほんぞうこうもく)』の著者、李時珍(リジチン)によると、
躑躅を表す言葉に「羊躑躅(ヨウテキチョク)」のほか、「山躑躅(サンテキチョク)」もあります。
「山躑躅(サンテキチョク)」には毒がありません。
中国の「山躑躅(サンテキチョク)」は
ヤマツツジを指すと考えられています
中国には、毒のある躑躅(ツツジ)とない躑躅(ツツジ)
を区別する言葉があったのですね
街や里山でよく見るツツジ(躑躅)の種類
前述したようにツツジ(躑躅)の種類は多いです。
垣根に使われるヒラドツツジ以外にもあるんですよ。
ここでは街や身近な里山など、よく見かけるツツジ(躑躅)に絞ってご紹介しますね。
ヒラドツツジ(平戸躑躅)
撮影者:スミレ
ツツジ科/ツツジ属
ヒラドツツジ 常緑低木
最初に登場するのは垣根でお馴染みのヒラドツツジ。
お庭でよく見る定番のツツジ(躑躅)です。
開花時期は4月下旬~5月上旬ぐらいですね。
漢字で書くと平戸躑躅(ヒラドツツジ)。
名前の由来は、長崎県平戸市出身のツツジ(躑躅)だから。
平戸市で主に栽培されていたツツジ(躑躅)だよ
ちなみに「躑躅」の漢字は、読むのも難しいですよね。
私も手書きで書く場合は「ツツジ」と書いています。
「躑躅」の読みは「てきちょく」。
先ほど、ある場所から動けなくなってしまうという意味をご紹介しました。
毒のある躑躅(ツツジ)を食べた羊が動けなくなるという語源でしたね。
「てきちょく」の広義の意味はためらうこと。
「躑躅(ツツジ)の花の美しさに足を止める」という意味です。
花さんぽの情景が浮かぶよう
素敵な名前の由来ですね
ドウダンツツジ(灯台躑躅/満天星躑躅)
撮影者:スミレ
ツツジ科 / ドウダンツツジ属
ドウダンツツジ 低木
ドウダンツツジの花は小さなツボの様な形です。
白い花がうつむいて咲いています。
お花だけを単体で見るとスズラン(鈴蘭)にソックリですね。
樹木全体を見ると全然違うのですが。
ドウダンツツジの名前を訊かれたのは
秋だったよね
私が見たのはコレ
赤い葉が鮮やかで
花より先に葉で覚えました
撮影者:スミレ
ドウダンツツジの紅葉
ドウダンツツジを漢字で書くと「灯台躑躅」または「満天星躑躅」です。
●灯台躑躅:小枝が灯の台に似ていることから
●満天星躑躅:小さな白い花が満天の星のようだから
小さな白い釣鐘型のお花のドウダンツツジ華やかなピンクのヒラドツツジ。
見た目は全然違いますがどちらもツツジ科までは一緒ですね。
ドウダンツツジ(躑躅)もお家の生垣としてよく使われているんですよ。
ドウダンツツジは、春の白い花と秋の紅葉と2回楽しめるのがポイント。
丈夫で育てやすいドウダンツツジは園芸初心者さんにもおすすめの品種です。
ミツバツツジ(三葉躑躅)
撮影者:スミレ
ツツジ科 / ツツジ属
ミツバツツジ 落葉低木
GWに山歩きをした時のこと。
一面の新緑の中で小さなピンクの花が目立っていました。
ミツバツツジの花でした。
園芸品種より自生しているものを
よく見かけますね。
ミツバツツジの名前の由来は3枚の葉をつけるところから来ています。
野生味が強い樹木の印象がミツバツツジです。
撮影者:スミレ
ミツバツツジ
鈴なりに垂れ下がっていたの
綺麗だったなぁ
ミツバツツジは紅葉するから
秋の山歩きも楽しみにしてね
クルメツツジ(久留米躑躅)
撮影者:スミレ
ツツジ科/ツツジ属
クルメツツジ 低木
固まって咲いているのが可愛い印象のクルメツツジです。
ヒラドツツジに比べるとずいぶん小さいです。
名前の通り久留米で発展した園芸品種です。
一重や八重があります。
クルメツツジの特徴は、ツツジ(躑躅)の仲間の中でも一番に咲き始めること。
全体的な開花期間は4~5月頃になります。
この写真は4月に撮りました
ヤマツツジ(山躑躅)
ツツジ科/ツツジ属
ヤマツツジ 半落葉低木
山に自生している低木のヤマツツジです。
日本の山のどこでも見ることができますよ。
ヤマツツジは低木のツツジの中で比較的樹高が高い種類です。
新緑の頃に赤い花で山が染まるコントラストは見事ですね。
また、ツツジの中では早くから咲き始める品種です。
川向うの山に咲いていたヤマツツジ。
あまりにも遠すぎてなかなか綺麗に撮れません。
またチャンスを狙います!
ツツジ(躑躅)とサツキ(五月)の違いとは?
撮影者:スミレ
ツツジ科 / ツツジ属
サツキ(別名:サツキツツジ)
サツキ(五月)とツツジ(躑躅)の違いをご存知ですか?
お花が咲くのはどちらも同じ5月の頃ですよね。
サツキ(五月)は別名サツキツツジ(五月躑躅)とも言います。
躑躅(ツツジ)の中の1品種が五月(サツキ)なのです。
なあんだ!
似ている別の植物と思っていました
本家ツツジと同じぐらいに名前の存在感がありますよね!
個人的に見分け方は非常に難しいと感じています。
あえていうならこんな感じ。
● 若干低木で盆栽イメージ
● 葉っぱが小さめで厚い
● 若干開花が遅い(5月中旬~6月)
”5月下旬以降に咲いていたらサツキ”
が一番わかりやすいかな
シャクナゲ(石楠花)|ツツジ(躑躅)の1品種
ツツジ科 / ツツジ属
シャクナゲ(石楠花) 低木・高木
ツツジ(躑躅)とサツキ(五月)は見た目も似ています。
ひとつの品種と言われても驚きません。
ところがシャクナゲ(石楠花)もツツジ(躑躅)の仲間だったのです!
これは予想もしていませんでした。
シャクナゲも同じツツジ科 / ツツジ属です。
お花の形のひとつひとつをよく見て!
ひとつひとつを観察してみれば、確かにツツジ(躑躅)に似たお花の形です。
派手な雰囲気なので
全く別の科だと思っていました
シャクナゲ(石楠花)の別名は西洋シャクナゲ。
花色はピンク、白、黄色など。
シャクナゲ(石楠花)は、大きな花が固まって咲く華やかさが特徴です。
西洋で品種改良されたシャクナゲ(石楠花)は、
豊富な品種、色とりどりの花色を持つツツジ(躑躅)の1品種です。
サツキ(五月)もシャクナゲ(石楠花)もツツジ科/ツツジ属の1品種。
日本では昔からツツジ(躑躅)とサツキ(五月)やシャクナゲ(石楠花)を区別して呼んでいました。
そこがガーデニング初心者にとっては迷いの原因となっていたのですね。
3種類の関係がスッキリ解決です!