秋の七草で一番最初に出てくる萩(ハギ)の花。
万葉の昔から愛されてきたお花ですね。
俳句では秋の季語にもなっています。
万葉集約4500首で植物をうたったものは約1500首あります。
萩の花は、万葉集のお花の中で何番目に多く読まれていると思いますか?
万葉の時代のお花見は梅だったと聞いたことがあります。

1番は梅で
萩の花は10位以内?
栄えある1位は142首の萩の花!
予想外でびっくりしませんでしたか?
昔の日本人の一番身近なお花だったのですね。
萩の花と鹿を組み合わせた和歌も多いようです。
面白いことに、中国では萩を歌った歌はほどんどないとか。
萩(ハギ)は万葉の日本人に好まれた植物だったのですね。

梅の花は2位で119首よ。
ちなみに令和の元号は、万葉集の梅の花の歌が由来でした。
この記事では、万葉の時代から私たちの身近にあった萩(ハギ)の花について、お花初心者さんにもわかりやすく名前の由来・別名・花言葉についてご紹介していきますね。
◆秋の七草:萩の花◆
- 萩の花の開花期間:7~10月
- 萩の花の名前の由来と別名:生え芽⇒萩(ハギ)説が有力 文学的な別名
- 萩は縁起の良い植物:7月の花札、9月の月見とお彼岸
- 萩の花言葉:どの色も同じ、花の姿から
秋の七草・萩(ハギ)の季節|夏から咲き始める萩の花
撮影者:スミレ
マメ科 / ハギ属
ハギ
秋の七草の筆頭の萩の花。
萩の花は9月頃に咲いている様な気がしませんか?
実は萩の花の開花時期は7~10月。
マメ科の花は小さくて真夏には気づきにくいのでしょうか?

秋の花の思い込みが強すぎました。
萩(ハギ)の名前は植物の1品種を指すのではなく、マメ科ハギ属全体を総称するもの。

初夏から咲き始める萩もあります。
紫陽花(開花時期5月下旬~8月)と一緒の時期に見ることも可能なのです。
紫陽花と萩(ハギ)は、どちらも開花時期が長いのが特徴の花ですね。

紫陽花は6月、萩は9月。
そんな勝手な思い込みが外れました!
萩(ハギ)は、本州・四国・九州に自生している身近な花です。
- 宮城野萩(ミヤギノハギ)
- 山萩(ヤマハギ)
<初夏から咲き始める萩>
- 五月雨萩(サミダレハギ)
- 夏萩(ナツハギ)
宮城野萩(ミヤギノハギ)は宮城県の花にもなっています。
別名は夏萩(ナツハギ)です。
宮城野萩(ミヤギノハギ)だけではありません。
夏に咲く萩を総称して夏萩(ナツハギ)と呼んでいます。

春に咲いて真夏はお休み。
秋に復活する萩の花もあるよ。
萩(ハギ)= 秋の七草
ただし、秋オンリーの花でなく春も夏も咲いている。
萩(ハギ)の名前は、マメ科ハギ属を総称した呼び名です。
その中で夏に咲く萩をまとめて夏萩(ナツハギ)と呼んでいます。

マメ科ハギ属全体が萩だったのですね。
こんなに種類があるとは!

マメ科ハギ属すべてを萩と呼ぶのは
日本人の萩好きな証拠だね。
ちなみに、中国の「萩(ハギ)」はヨモギの1種を指しています。
萩のお寺などの花の見頃は、秋の七草を意識されているのでしょうか。
ほとんどの萩の花の観光地での見頃は9月中旬~下旬。
萩の花を見る目的なら、初秋(9月)楽しむことができます。
萩(ハギ)の名前の由来と文学的な別名
撮影者:スミレ
夏のハギの様子
草かんむりに秋と書いて、萩(ハギ)の漢字のできあがり。
秋の花のイメージですね。
「萩」の漢字は日本が創作した漢字(国字)のひとつです。
それでは「ハギ」という言葉は、どうして生まれたのでしょうか?
萩は落葉樹。
秋が終わり花が終わった後の萩は枯れた姿になります。
寒さに強い萩は、翌年古い株から芽が出てくるのです。
● 生え芽⇒萩(ハギ)説
● 枝を箒にする⇒掃く説
生え芽説が有力です。

萩の名前の由来は
生命力あふれる理由だったんですね!
万葉集では「ハギ」を指すのに「萩」のほか、「芽子」「芽」の漢字を当てているところから、
人々がハギの花に生命力を感じていたことが推測されます。
ただし、実際に小豆島では萩の枝を箒にしていた歴史があるそうです。
萩は役に立つ、使える木でもあるのですね。
万葉の歌の題材になってきた萩の花。
歌の内容から、お庭に萩を植えて楽しんでいたことがわかっています。
萩には文学的な香りのする別名があります。
- 庭見草(ニワミグサ)
- 初見草(ハツミグサ)
- 野守草(ノモリグサ)
- 鹿鳴草(シカナキグサ)
萩の花のモチーフは、襖絵・日本画・着物などにも取り入れられています。
萩は和を表現するのに欠かせない植物なのです。
<ちょっと耳より情報 その2>
萩は俳句では秋の季語に使われます。
- 初萩(ハツハギ)
- 山萩(ヤマハギ)
- 野萩(ノハギ)
- 白萩(シラハギ)
という萩の表現、素敵ですね。

英語の名前はBush clover、
Japanese cloverです。
萩は縁起の良い植物|7月の花札と9月のおはぎ
撮影:スミレ
シロハギの花
花札に「萩と猪」があるのを知っていますか?
「萩と猪」は7月の札です。
ここに、萩が秋だけの季節の植物ではないことが表れています。
荒々しい猪と風にたなびく綺麗な萩の花の小花。
剛柔の対比が好まれました。
縁起の良い動物と植物の組み合わせとして、萩と猪が7月に選ばれたのでしょう。
猪は十二支の干支、縁起の良い動物です。

萩は縁起の良い植物なの?
萩は魔除けともされてきました。
その証拠が季節の行事に現れています。
- 中秋の名月(9月)ススキと一緒にお月見団子を飾る
- 秋のお彼岸(9月)和菓子のおはぎをお供えする
萩は縁起の良い植物なのです。
<ちょっと耳より情報>
お彼岸の「おはぎ」という名称は、地域によって言い方が違います。
(どちらもおはぎというところも。)
わかりやすい定説をお伝えしましょう。
● 春のお彼岸は牡丹のぼたもち、秋のお彼岸は萩のおはぎ
牡丹の花は大きく萩の花は小さいので、春と秋とで大きさが違う
● 小豆がハギの花の咲く花に似ているというところから
「萩の餅」⇒「萩」
萩の花言葉|小さな花の姿から
撮影者:スミレ
花の風情が花言葉に
秋を印象づける樹木、萩の花。
萩の花の色に白・ピンク・赤紫。
どの色も花言葉は同じです。
その花言葉は小さな花の姿からきた様に思います。
「内気」「思案」「想い」

地味で思慮深いイメージが伝わります。
「柔軟な精神」「柔らかな心」

繊細に風に揺れる様からの花言葉でしょうか。
「前向きな恋」
ちょっと意外な感じもしませんか?
萩の枝がどんどん伸びていく様を表しています。

枝がしなった先に小さな花がいっぱい咲くよ。
秋の七草のイメージが強い萩の花。
それだけではありませんでしたね。
心と頭が柔らかくなる萩の花言葉でした。
萩(ハギ)の花の特徴|季節・名前の由来・別名・花言葉まとめ
萩(ハギ)は暑さや強さに強い植物です。

お庭で育てるにもおすすめの植物です。
この記事では、萩(ハギ)の季節・別名・花言葉について、お花初心者さんにもわかりやすくお伝え致しました。
◆萩の花◆
- 萩の花の開花期間:7~10月
- 萩の花の名前の由来と別名:生え芽⇒萩(ハギ)説が有力 文学区的な別名
- 萩は縁起の良い植物:7月の花札、9月の月見とお彼岸
- 萩の花言葉:どの色も同じ、花の姿から
★ 萩(ハギ) 9月24日 誕生花 | |
科名/属名 | マメ科/ハギ属![]() |
原産 | 日本 |
学名 | Lespedeza thunbergii |
英名 | Bush clover Japanese clover |
別名 | 庭見草(ニワミグサ) 初見草(ハツミグサ) 野守草(ノモリグサ) 鹿鳴草(シカナキグサ) |
花言葉 | 「内気」「思案」「想い」 「柔軟な精神」「柔らかな心」 「前向きな恋」 |
開花時期 | 7~10月 |
花色 | 赤紫・ピンク・白 |
特徴 | ・落葉低木(樹木) ・垂れ下がる様に咲く ・丸い葉 |
秋の七草について、ハギに似た草花のお話はこちらに書いています。
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