「この花が咲いたら確実に春が来た!
もう冬には逆戻りしない。」
そう感じられる、あなたの身近に咲いているお花は何ですか?
誰でも知っているお花でよく見かけるお花、おおよその開花順です。
(「鏡花水月★花つむぎ」管理人スミレの周り調べ)
- 菜の花(2~4月)
- クロッカス(2~4月)
- 福寿草(2~4月)
- 桜(3月下旬~4月上旬)
- チューリップ(3月下旬~5月上旬)
チューリプまで咲き始めると春爛漫という感じ。
季節は確実に進んでいますね。
私が「もう春だ!」と一安心できるお花は菫(スミレ)です。
この記事では春の草花の代表、菫(スミレ)について、お花初心者さんにもわかりやすくご紹介致します。
スミレは可憐な姿をしながら
都会を生き抜く根性がある草花です。
◆春の草花の代表:日本の菫(スミレ)◆
- 菫(スミレ)は俳句の季語
- 菫(スミレ)名前の由来の有力説と花言葉
- 菫(スミレ)が都会で生き抜く秘訣:種の仕組みと蜜のスポット
菫(スミレ)|春の季語で食べられる野草
撮影者:スミレ
スミレ科/スミレ属
スミレ
菫(スミレ)の名前を知らない日本人はいないのでは?
日本原産の草花、菫(スミレ)です。
スミレの花の特徴は、花びらが左右対称で蝶々のよう下に1枚の唇弁があり、全部で5枚の花弁です。
唇弁には筋がついています。
花の後ろはすぼまった形の距(きょ)があります。
濃い紫色をしているのが原種の菫(スミレ)です。
俳句では春の季語にもなっていますね。
道端の菫(スミレ)の花を見ると春を感じ、元気になれる。
それは昔の日本人も同じだったのでしょう。
花すみれ 春やむかしの 野のくぼみ (幸田露伴)
この句の「花すみれ」という表現が好きです。
菫(スミレ)の可憐さが伝わる句ですよね。
そういえば「花すみれ」という名前の和菓子もありますよ。
この名前をつけた人のセンスが素敵ですよね。
花も団子も両方!
「鏡花水月★花つむぎ」管理人の菫(スミレ)です。
菫(スミレ)は食べられる野草だか注意点も
日本では平安時代からスミレに「菫」の漢字を当ててきました。
広辞苑によると「菫」の漢字は、ムクゲやトリカブトの意味もあるそうです。
私の中では菫=スミレの一択だったので意外な驚きでした。
現代の中国ではスミレ科スミレ属の植物を「菫菜(ジンツァイ)」と呼んでいます。
同じ「菫」の漢字ですね。
「菜」の漢字も入っているのは
もしかして!?
スミレは食べられる野草です。
スミレの花の砂糖漬けも綺麗ですよね。
万葉集には「すみれ摘む」という言葉が出てきます。
菫(スミレ)は山菜として親しまれてきましたのです。
スミレの若葉はお浸しや和え物などにして食べることができます。
また、花は砂糖漬けのほか、お湯を通してから甘酢漬けやお吸い物に。
注意点です。
スミレの仲間には根に毒がある種類もあります。
食べるなら花や葉のみが安全です。
菫(菫(スミレ))|名前の由来と花言葉
撮影者スミレ
菫(スミレ)の名前の由来って面白いんですよ。
むかし、児童図鑑で見て意外な由来だったので覚えているんです。
菫(スミレ)の花の形は奥がすぼまっています。
横から見ると頭がぐっと出ていていますよね。
この部分は「距(きょ)」と言います。
この形からの連想で、大工さんが使う墨入れ(スミイレ)⇒スミレとなりました。
スミレの名前の由来には異説もありますが、この墨入れ説が有力です。
また、菫(スミレ)の別名も面白いのです。
相撲取り草、相撲取り花とも呼ぶよ。
かよわい花なのにどうして?
昔の子どもたちは花と花をひっかけて
お相撲遊びをしていたのよ。
菫(スミレ)の花言葉は色別でたくさんあります。
個人的には、色に関係なく全般を表すこちらがピッタリと感じています。
「誠実」「謙虚」「小さな幸せ」
菫(スミレ)の姿そのものを表している花言葉だと思いませんか?
スミレの仲間たち|山間部~街中まで50種以上
撮影者:スミレ
菫(スミレ)の仲間たち
小さな草花の菫(スミレ)は仲間が多いです。
その中でも日本は50種類以上のスミレが咲く、いわばスミレ大国なのです。
野に咲く菫(スミレ)と街で見かける菫(スミレ)があります。
野に咲く菫(スミレ)の代表
- コスミレ(小菫)
・3~4月・薄紫~白・茎が伸びない無茎種・長い丸みを帯びた葉
・花は約2センチ(名前と正反対に大きい)
・本州~九州・山間部~市街地まで - ヒナスミレ(雛菫)
・3~4月・薄紅色・山地~林間・とがったハート形の葉
街中で見かける菫(スミレ)の代表
- ノジスミレ(野路菫)
・3~4月・薄紫・無茎種・葉が斜めにつく・街中で最も見られる - ヒメスミレ(姫菫)
・3~4月・紫・スミレに一番似ている・細長い3角形の葉
距の色が薄い - タチツボスミレ(立坪菫)
・4~5月・薄紫・葉を伸ばす有茎種・ハート型の葉
・托葉(葉柄の根元)に深い切れこみ
・北海道~沖縄まで・山地~都会まで - ツボスミレ(坪菫):別名ニョイスミレ(如意菫)
・4~5月・白・唇弁(下の花弁)の紫の筋が目立つ・托葉切れこみなし
タチツボスミレやツボスミレの「坪」とは
お庭のことだよ。
菫(スミレ)は花も茎も華奢な姿をしています。
摘むとすぐに枯れてしまいます。
野原に咲く可憐なイメージが強いですよね。
意外や意外、菫(スミレ)は都会の道路脇にも多く生息しているのです。
通勤途中で見かけると嬉しくなるの。
ガンバレ~って。
菫(スミレ)が都会でたくましく生きていける秘密をご紹介しましょう。
野生スミレが都会で生き抜く秘訣|種と蜜
菫(スミレ)の種の仕組み
菫(スミレ)の種は遠くまで弾き飛ばされます。
種にはエライオソームという白いゼリーがついています。
エライオソームは蟻たちの大好物。
蟻たちは菫(スミレ)の種を食べ終わった後は殻を捨てるんです。
それもちゃーんと土があるところに。
その殻から菫(スミレ)が芽吹くのです。
上手い仕組みですね。
撮影者:スミレ
歩道のへりから
街の道路の小さなスペースからも♪
菫(スミレ)の蜜のスポット
撮影者:スミレ
密スポットを横から見る
菫(スミレ)の花を観察してみましょう。
菫(スミレ)の花びらは一番下の一枚(唇弁)にだけ模様があります。
聞きなれない「唇弁(しんべん)」という言葉、
ランの花をイメージするとわかりやすいかな?
ミツバチはこの模様を目がけてくるんですよ。
菫(スミレ)が紫色をしている理由も、ミツバチに見つけてもらいやすいためだそう。
また、菫(スミレ)は花の奥がすぼまった形をしていますね。
この部分を「距(きょ)」と呼んでいます。
距(きょ)の奥は蜜のスポットがあるんです。
ここに入れるのはミツバチだけ。
ミツバチに受粉してもらうから
特別待遇なんですね。
菫(スミレ)の仲間のパンジーやビオラにも
花びらに筋があるわ。
同じ理由でミツバチを呼んでいるのね。
夏にも咲いていた菫(スミレ)
春の菫(スミレ)は夏にも。
こっそり2度目の花を咲かせていたのをご存じですか?
2度目はつぼみのままのような花。
緑色をしていて、歩いていてもまず気づかないかも。
こんな花を閉鎖花と呼びます。
ミツバチが来なくなると菫(スミレ)は自家受粉することもできるんです。
都会の菫(スミレ)もしぶとく強く生きていますね。
撮影者:スミレ
雨に濡れて紫色も艶やかに
春の草花代表|菫(スミレ)のまとめ
撮影者:スミレ
菫(スミレ)の仲間(白)
小さな菫(スミレ)は可愛いだけではなく、都会で生きる知恵を持った草花なんです。
◆春の草花の代表:日本の菫(スミレ)◆
- 菫(スミレ)は俳句の季語:春の季語スミレ
- 菫(スミレ)の名前の由来:大工さんの墨入れから名づける
- 菫(スミレ)の花言葉:「誠実」「謙虚」「小さな幸せ」
- 菫(スミレ)の仲間は50種以上
コスミレ・ヒナスミレ・ノジスミレ・ヒメスミレ・タチツボスミレ・ツボスミレなど - 菫(スミレ)が都会で生き抜く秘訣
種にエライオソーム・ミツバチを呼び込む蜜スポット、自家受粉もできる
この記事では、日本の春の草花の代表、菫(スミレ)の魅力について、お花初心者さんにもわかりやすくご紹介致しました。
「鏡花水月★花つむぎ」管理人の名前でもある、日本原産のスミレの花。
可憐な姿ながら生き抜く強さを持っているこの草花を、好きになっていただければ嬉しいです。
★ 菫(スミレ)2月28・29日 誕生花 | |
科名/属名 | スミレ科 / スミレ属 |
原産 | 日本 |
学名 | Viola mandshurica |
英名 | Violet |
別名 | スモウトリグサ・スモウトリバナ |
花言葉 | 「誠実」「謙虚」「小さな幸せ」 |
開花時期 | 4~5月 |
花色 | 紫・白・黄・青 |
特徴 | 仲間が多い |
この記事は、モーツァルトの「Das Veilchen(スミレ)」を聴きながら書きました。
ゲーテ作のスミレの詩から作曲した歌曲です。
菫(スミレ)を想いながら聴いてくださいね。
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