椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)はよく間違えられますよね。
育ちやすい地域の特色があるんですよ。
「雨の陰」という言葉を聞いたことはありますか?
雨雲が丘や山に囲まれて雨が降らない地域のことです。
湿った気候に適しているのはツバキ、アジサイ、モクレン、シャクナゲ。
逆に雨の陰では育ちにくいのがサザンカです。
サザンカは湿潤な地域によく見られます。
地域特性でサザンカとツバキを見分けるのは至難の業。
もう少しわかりやすい見分け方はありませんか?
この記事では、山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)の特徴を見分け方を、お花初心者さんにもわかりやすくご紹介していきますね。
◆山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)の簡単な見分け方◆
- 山茶花は晩秋の花だけではなくなった!
- 椿(ツバキ)の香りを聴こう!
- 山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)の見分け方まとめ
山茶花(サザンカ)は晩秋・冬・春の花へ変化中!
学名:Camellia sasanqua(カメリア サザンカ)
ツバキ科/ツバキ属
晩秋から冬にかけての垣根を彩る山茶花(サザンカ)。
こどもの頃、楽しく歌っていましたよ。
”さざんか、さざんか、咲いた道~♪” (童謡「たきび」より)
昔から生垣によく植栽されている低木ですね。
花の形も椿(ツバキ)によく似ているんですよ。
近寄ってどっちかな~と確かめています。
野生の山茶花(サザンカ)は10~12月の晩秋の花。
ということで椿(ツバキ)と見分けが付きます。
昔は咲いている季節で
はっきりサザンカとわかったのよ。
椿(ツバキ)と同様に山茶花(サザンカ)の種からも油が採れます。
サザンカの油は「かたし油」。
食用や髪油に使われています。
山茶花(サザンカ)の原種は白。
江戸初期からたくさんの園芸品種が作られるようになりました。
- 11~3月(カンツバキ系)
- 12~4月(ハルサザンカ系)
咲いている時期で、山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)を区別するのは難しくなっています。
<ちょっと耳より情報>
撮影者:スミレ
山茶花(サザンカ)の中国名は「茶梅」。
椿(ツバキ)の中国名は「山茶」。
中国からツバキの中国名「山茶」が伝わった時、既に日本では「椿」を使っていました。
そこで「山茶」を、同じツバキ科ツバキ属の「山茶花(サザンカ)」に
スライドさせたのが真相の様です。
ツバキに「椿」の漢字は
日本で作られた国字です。
椿(ツバキ)の香りを聴いてみる
学名:Camellia japonica(カメリア ジャポニカ)
ツバキ科/ツバキ属
椿(ツバキ)の見頃は「寒椿」と呼ばれる冬~初春です。
濃い緑色の厚い葉っぱに艶やかな椿(ツバキ)の花は、冬景色に映えますよね。
お庭の木としても人気のお花です。
椿(ツバキ)も山茶花(サザンカ)と同じく日本原産のお花です。
野生の椿(ツバキ)は赤紫色をしています。
おしべが繋がっていて筒状の白色が特徴です。
果実は直径2センチほどで熟すと割れます。
椿油のもとですね。
椿の品種は細かいものを含めると6000種以上あるとか。
トータルで11~4月頃まで咲いているんですよ。
ツバキは冬のお花とは言い難くなりました。
椿(ツバキ)|わかりやすい特徴
1.花の中央を見る
撮影者:スミレ
花芯に注目!
椿(ツバキ)のお花の特徴は花芯がまとまっているところです。
これが一番大きな椿(ツバキ)の特徴です。
山茶花(サザンカ)
対して、山茶花(サザンカ)の花芯はまとまっていないこともあり、
椿(ツバキ)より立体的ではありません。
横広がりに薄くみえるかな。
2.花の散った地面を見る
お花を見ても迷ったら?
咲いているお花よりわかりやすい場所は?
木の下を見ること!
落ちている花の形を観察するのです。
椿(ツバキ)はお花が丸ごと落ちています。
花びらを散らさずに花の形のままで。
撮影者:スミレ
椿(ツバキ)の花が落ちた様子
昔の武士が椿(ツバキ)を気にしたという話は有名ですよね。
これは明治以降後から作られた話だそうですよ。
<ちょっと耳より情報>
椿(ツバキ)の花粉は、虫ではなく鳥が運びます。
鳥につつかれても大丈夫なように、
椿(ツバキ)の根本はしっかりとしたガクでおおわれているのです。
ガクの重みで全体がまとまって落ちるの。
対して、山茶花(サザンカ)は花びらを散らすように落ちています。
一般的に山茶花(サザンカ)は椿(ツバキ)より寒さに弱く、強い風などですぐ花びらが散るのですね。
撮影者:スミレ
山茶花(サザンカ)の花びらが散った様子
2.葉っぱを見る
お花を見てもまだ迷っていたら?
椿(ツバキ)の葉っぱの特徴は深い緑で肉厚なこと。
これもわかりやすい特徴です。
ツバキの名前の由来は「光沢木(ツヤキ」「艶葉木(ツヤキ)」説があるのも頷けます。
綺麗で艶やかですよね。
対して山茶花(サザンカ)の葉っぱの特徴です。
椿(ツバキ)より小さめで縁のギザギザがはっきりしています。
見分ける小さなポイントですね。
撮影者:スミレ
葉っぱのギザギザのことを鋸歯(きょし)と言うよ。
椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)の目には見えない見分け方
ここでちょっと面白い、ふたつの花の見分け方をご紹介しましょう。
椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)の見分け方。
”香りを聴く”ことでもわかるのです。
目には見えない見分け方ですね!
左ツバキ 右サザンカ
(花芯にも注目)
椿(ツバキ)の花の香りは、山茶花(サザンカ)よりも微かな香りです。
ツツジのようなもの、ジンチョウゲのような香りがする種類があります。
甘くさわやかなリナロールの成分です。
それに対し、山茶花(サザンカ)の香りは新鮮なグリーンノートの香り。
サザンカ特有のアセトフェノンが主成分です。
ちなみに、この”香りを聴く”という言葉は調香師さんに教えてもらった言葉です。
詩的な言葉ですよね。
山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)を、香りで聴き分けたらあなたもお花マニア!
見えない部分の違いも楽しんでくださいね。
山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)の見分け方まとめ
★ 山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)の簡単な見分け方 | ||
花名 |
山茶花(サザンカ) (誕生花:11/27,12/4,12/10) |
椿(ツバキ) (誕生花:12/27,1/2,2/4) |
科名/属名 | ツバキ科 / ツバキ属 | |
原産 | 日本 | |
学名 | Camellia sasanqua | Camellia japonica |
別名 | 梅茶 山茶 | ヤブツババキ、ヤマツバキ |
花言葉 | 困難に打ち勝つ ひたむきさ | 控えめな優しさ 誇り |
開花時期 | 10~12月(晩秋の花) 園芸種は10~4月 |
11~4月(冬の花) 園芸種は11~4月 |
花色 | 野生は白 ピンク・赤 |
野生は赤紫 赤・白・ピンク |
特徴 | 秋~開花する 華やかな香り 花びらが散る 甘く爽やかなグリーンノート系香り |
葉っぱの色が濃い 大きく肉厚な葉っぱ 花芯がまとまっている 幹が白くて滑らか 花ごと落ちる 微香(リナロール成分) |
山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)、園芸種の開花時期はほとんど同じになります。
一番わかりやすい違いは花の落ち方です。
- 山茶花(サザンカ)は花びらがハラハラと落ちる
- 椿(ツバキ)は花全体がポトリと落ちる
花がまだ落ちていなかったら、幹と葉っぱの色の違いで見分けましょう。
この記事では、山茶花(サザンカ)と椿(ツバキ)の簡単な見分け方について、お花初心者さんにもわかりやすくお伝え致しました。
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